【4】イホデルサント 本革仕様 初代ブシオ製 これまでマスクを作ってもらった職人さん（ローリン、ブシオ、ウンベルト、プエブラ、ラウルロメロ、トロイリソン、リンベルグ、ラフリア、カレリー）の中で、本革以外使わないといういう人は、ウンベルト、プエブラです。ローリンは、本革に対する入れ込みがもっとも深いですが、ブロンコ（CMLL）など、選手の注文には合わせるという感じです。ミスティコでは、本革を1枚敷いて、ホログラムや吹き付け銀の合皮を重ね縫いしました。ラフリア、ラウルロメロは、本革仕様が多いですが、合成皮革のマスクがけっこうあります。 ブシオ、リンベルグ、トロイリソン、カレリーは、合成皮革のフチがほとんどです。 合成皮革といっても、ブシオが使うような合成皮革は、本革よりずっと高いものもあるので、価格を抑えるためだけに合成皮革を使っているわけでないことはわかります。 2012年ですが、フライトルメンタ神父の練習場に通わせてもらっていました。写真をとらせてもらっていたのです。通ってくる選手は20人くらいはいたでしょうか、（実際にはフライトルメンタのお弟子さんは星の数ほどいます）。空地の一角にリングがあり、そこで皆トレーニングしています。 稽古が終わってから、タコス屋さんとか、ドミノピザの2階で、ビール飲みました。不思議なことに、この店は、ピザ食べてくれたら、持ち込みでビール飲んでもよいよ、でした。日本じゃありえないですね。よくマスク話をしました。といって、彼らはコレクショニスタというわけではありませんが。 ミゲルアンヘルと友達だからという人、マスカラ大百科を読んでいる人、もいたけれど、ここを見ている人ほどは詳しくはありませんでした。 試合に際して、どこのマスクを使っているか聞くと、ほとんどブシオでした。これはおもしろいなと思い、いろいろ聞いてみました。 フチについていえば、合皮が良い、という人がほとんどです。もっとも大きな理由はマスク洗っても縮むことがないから、です。あと、カラフルな色や金属的な輝きは、合皮のほうが出せるということでした。フライトルメンタ神父もブシオのマスクを使っておられましたが、やはり、合皮でした。 ローリンやウンベルトの本革マスクはすごいんだぜ、というと、それはわかるし、見たいなと言ってましたが、使うとなるとやはり、合皮が良いのだそうです。そして、生地でいうと圧倒的にリクラ。プンティーニ、サティナーダ、ピエール等。伸びる生地フィットする生地がいいのだそうで。スポルペスを使ったマスクの人は一人もいなかった！これにはちょっと、がっくりきましたが、選手はより実用性が高いものを好むということです。 ただ、マニアがどうなのかは、これはまた別の話です。エキスポルチャで陳列されていたマスクや、収集家のこの一枚！というやつは、たいがいが、伝統的な生地の本革のものです。これは、いいマスクが本革というより、古い時代には逆にまともな合皮素材がなかったこともあります。 これはローリン曰く、ですが、本革で作られたものは、永遠です。百年経ってもそのままだろう、です。表面の塗装の色が抜けるだけと。年数がいってからの自然劣化が、マスクをビンテージに変えます。合成皮革は、プラスチックやビニールなので、長くはもちません。これは生地でもそうなのですが、ひび割れたり、溶けたり、最終的には、ローリンの言うように粉になるわけです。 そう考えると、長く見たら、やはり、本革のマスクなのかと思います。 ブシオとイホデルサントは、長く、時々にマスクデザインのマイナーチェンジを繰り返して今日まで来ています。 イホデルサントへの納品でも合皮を使うことが多いそうですが、古いメキシコの雑誌には本革のマスクはあるので、値段が多少は上がってもよいからと、本革仕様のものを頼んでみました。それが、このマスクです。生地は厚手のリクラサテンです。私には、ミシン糸の入り方とかも違って見えます。こちらが断然いいように見えます。 【5】へ続く。